「手作りパンを作るなら、ドライイーストは体に良くないから避けたほうがいいよ」と友人から言われました。
普段、パン作りでは手軽に使えるドライイーストを愛用していたのですが、その言葉を聞いて少し不安に感じてしまいました。
そこで、今回はドライイーストの安全性について以下のポイントを調査してみました。
- ドライイーストは本当に体に害があるのか？
- 食品添加物やイーストフードとの違い
- ドライイーストに含まれる乳化剤の正体
- パンに含まれる発がん性物質のリスク
手作りパンは安心・安全なイメージがありますが、ドライイーストに関する情報を耳にしたことで、そのイメージが揺らいでしまいました。
そこで、体への影響について詳しく知るために、手作りパンだけでなく市販のパンに含まれる成分についても徹底的に調べてみました。この記事を通じて、パン作りや購入時に、より安心できる選択ができるようサポートします！
ドライイーストは本当に体に悪いの？
ドライイーストとは、酵母と呼ばれる微生物を乾燥させたものです。酵母（英語ではイースト）は、パン生地を膨らませるために必要不可欠な存在で、ドライイーストは長期保存が可能な形に加工されています。
市販品としては「サフ」や「カメリヤ」などが広く知られています。
ドライイーストは、パン生地に加えて砂糖をエサにすると発酵を行い、二酸化炭素を発生させて生地を膨らませる仕組みです。そのため、一見すると化学的なもののように感じるかもしれませんが、実際には自然由来の微生物を利用しており、化学合成物質ではありません。そのため、ドライイーストそのものは体に有害ではないとされています。
一方で、「ドライイーストは食品添加物で体に悪い」という誤解を持つ人もいるようです。この誤解が広まる背景には、「イーストフード」と呼ばれる食品添加物の存在が関係しています。
ドライイーストとイーストフードの違い
ドライイーストと混同されやすい「イーストフード」とは、酵母の発酵を助けたりパン生地を安定させる目的で使用される食品添加物です。イーストフードは酵母ではなく無機物であり、例えば以下のような成分が含まれています。
- 塩化アンモニウム: 酵母の栄養源として使用
- 硫酸カルシウム: 生地のpH調整に役立つ
- L-アスコルビン酸: 生地を引き締める効果がある酸化剤
これらはパンの品質を向上させるために使用されますが、イーストフードに対しては「体に悪い」との声も多くあります。特に、化学的に合成された成分を摂取することへの懸念が指摘されています。
イーストフードは本当に有害なのか？
イーストフードに含まれる成分の中には、摂取量が多い場合に健康リスクが生じるとされるものがあります。しかし、通常の使用量では人体に影響を及ぼすほどの量は残らないため、過剰に心配する必要はありません。
それでも、「添加物をできるだけ避けたい」と考える方には、イーストフード不使用のパンを選ぶのがおすすめです。例えば、「超熟」シリーズはイーストフードや乳化剤を使用していないため、多くの消費者に支持されています。
乳化剤について
市販のパンやドライイーストの中には、乳化剤が使用されているものもあります。次の章では、乳化剤の役割や安全性について詳しく解説します。
ドライイーストの「乳化剤」は体に悪いの？
市販のドライイースト、例えば「日清 スーパーカメリヤ ドライイースト」や「オーマイ ふっくらパンドライイースト」の成分表を見ると、以下のように記載されています。
- ドライイースト
- 乳化剤
- ビタミンC
このように、乳化剤が含まれていることから「体に悪いのでは？」と心配する方もいるかもしれません。では、実際にドライイーストに含まれる乳化剤がどのようなものなのか見てみましょう。
乳化剤の役割とは？
乳化剤とは、本来混ざり合わない水分と油分をなじませる役割を持つ成分です。ドライイーストに使用されている乳化剤は、イーストが乾燥しすぎるのを防ぐ目的で添加されています。
「乳」という言葉が含まれるため牛乳や乳製品を連想する方もいますが、実際には乳成分は使用されていません。たとえば、大手メーカーである日清製粉は、使用している乳化剤は植物由来であることを公表しています。
- 卵黄レシチン（卵黄由来）
- 大豆レシチン（大豆由来）
- ヤシ油由来の乳化剤
これらが一般的に使用される乳化剤で、いずれも天然素材から作られています。そのため、大きなリスクはないとされています。
植物由来でも注意が必要？
ただし、乳化剤が植物由来であっても、大豆アレルギーや卵アレルギーがある場合は注意が必要です。アレルギー体質の方が摂取するとアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があります。また、使用されている大豆が遺伝子組み換え作物である可能性もゼロではありません。
乳化剤に不安を感じる場合は、使用原料についてメーカーに問い合わせるのも一つの方法です。どうしても気になる場合は、乳化剤を含まないドライイーストを選ぶこともできます。
無添加のドライイーストを選ぶなら
無添加のドライイーストとして人気なのが「白神こだま酵母ドライ」です。この商品には乳化剤やビタミンCなどの添加物が一切含まれていません。無添加のパン作りを目指す方にはおすすめですが、保存性が低いため、開封後は冷蔵庫で保管し、早めに使い切る必要があります。
パンと発がん性リスク
パンの成分について発がん性リスクを指摘する意見もあります。代表的な例として以下が挙げられます。
- アクリルアミド：小麦粉を焼成する際に発生する物質で、「おそらく発がん性がある」とされています。ただし、リスクは極めて低いと考えられています。
- カビ毒：カビの中には発がん性の高い毒素を含むものがあります。市販のパンは防腐剤でカビの発生を抑えていますが、自家製パンは特に注意が必要です。
どちらも日常的な摂取で即座に健康に影響を及ぼすものではありませんが、カビが生えやすい環境ではパンを早めに消費し、適切な保存を心がけることが大切です。
ドライイーストや市販のパンに対する不安を感じる場合は、成分表をしっかり確認し、自分に合った商品を選ぶことがポイントです。乳化剤を含まないドライイーストや無添加のパンで、安心して楽しめる手作りパンを目指しましょう！
まとめ
ドライイーストが有害かどうかを調べた結果、以下のようなポイントがわかりました。
ドライイーストとは
- 酵母（微生物）を乾燥させたもの
- イーストフードと名前が似ているため、誤解を招きやすい
- 乳化剤が含まれていることから有害だと考える人もいる
イーストフードとは
- 酵母の発酵を助ける食品添加物
- 使用量が適切であれば人体への影響はほとんどない
- 過剰摂取が問題視され、有害とされる場合も
ドライイーストに含まれる乳化剤とは
- 植物由来の成分が一般的
- アレルギー反応などを引き起こす可能性はゼロではない
- 乳化剤を含まないタイプのドライイーストも購入可能
ドライイーストをはじめ、市販の食品は日々の研究と改良によって安全性が高められています。そのため、少量食べたくらいで体に悪影響を与えるものは基本的にありません。
とはいえ、食品添加物に関しては「絶対に安全」と断言するのは難しい場合があります。それでも、過剰な心配をするよりも、正しい知識をもとにバランスの良い食生活を心がけることが重要ではないでしょうか。
例えば、塩分や糖分の過剰摂取も健康に悪影響を及ぼす可能性がありますが、適量であれば体に必要な栄養素です。同様に、食品添加物も適切に使用されていれば安全に利用できます。
大切なのは、単純に「添加物＝悪」と考えるのではなく、食品の成分や目的を正しく理解すること。過剰摂取を避けながら、安心して多様な食材を楽しむことで、健康的で豊かな食生活を実現したいものですね。
